特定の遺伝子傾向と、複雑タスク・思考プロセスデータ分析:私のワーキングメモリ負荷軽減実践体験
遺伝子傾向から見えた「思考の詰まり」:私のワーキングメモリ負荷軽減へのジャーニー
私はITエンジニアとして、日々複雑なタスクに取り組んでいます。要件定義、設計、あるいは複数のプロジェクトを並行して進める際、どうしても思考が整理できなかったり、些細なことで集中力が途切れたりする感覚に悩まされていました。頭の中がごちゃごちゃになり、「思考が詰まる」ような感覚です。これは仕事の生産性だけでなく、精神的な疲労感にもつながっていました。
そんな中、「わたしの個別ケアジャーニー」で遺伝子検査やデータに基づいたメンタルケアを知り、自分も試してみようと一歩踏み出しました。特に、遺伝子検査の結果で示された特定の脳機能に関連する遺伝子傾向に目が留まりました。これは、情報処理の特性や、思考の柔軟性などに関わりうる傾向を示すものでした。検査結果の解説を読むうち、もしかしたら私の「思考の詰まり」は、この遺伝子傾向が示唆する脳の特性と関連があるのではないか、と考えるようになりました。
遺伝子情報をヒントに、思考プロセスをデータ化
遺伝子検査の結果そのものが直接的に何かを教えてくれるわけではありません。しかし、自分の生まれ持った特性の「可能性」を知ることで、「なぜ自分はこう感じるのだろうか」という疑問に対する一つの視点が得られました。私の場合は、この特定の遺伝子傾向が示唆する特性として、「一度に多くの情報を扱うのが得意ではないかもしれない」「思考の切り替えに少し時間がかかるかもしれない」といった点があることを知りました。
この遺伝子傾向をヒントに、私の課題である「思考の詰まり」や「集中力の途切れ」が、具体的にどのような状況で起こっているのかを客観的に捉えるため、データ収集を始めました。特に意識したのは、複雑な思考を要するタスクに取り組んでいる際の以下のデータです。
- タスクログ: 開始・終了時刻、中断回数、中断した理由(例:別の通知が来た、考えがまとまらなくなった)。
- 思考ログ: タスク中に頭の中で考えていたこと、迷走したポイント、思考がスムーズに進まなくなった時の感覚を簡単にメモ。
- 集中度・思考の明瞭度: 1時間ごとなどに、その時点の集中度や思考の明瞭さを主観的に10段階で評価。
- 休憩のタイミングと内容: 休憩を取った時間、休憩中に何をしたか。
これらのデータは、PCのログ、タスク管理ツール、簡単なメモアプリなどを組み合わせて収集しました。
データ分析で見えた「ワーキングメモリ負荷」のメカニズム
集めたデータを振り返り、分析する中で、いくつかの明確なパターンが見えてきました。私の「思考の詰まり」は、一度に複数の情報やタスクを頭の中で処理しようとした時や、予測していなかった情報が入ってきた時に顕著に起こりやすいことがデータから示唆されました。これは、遺伝子傾向で示唆された「一度に多くの情報を扱うのが得意ではないかもしれない」という特性と関連している可能性が考えられました。
具体的には、
- 複数のタスクを並行して進めている時、中断回数が増え、思考ログにはタスク間の混乱が記録されていました。
- メールやチャット通知が頻繁に来る環境では、集中度評価が著しく低下していました。
- 複雑な設計を考える際、全体像を把握しようとすると、思考ログが断片的になり、まとまりのないメモが増える傾向がありました。
これらのデータは、私のワーキングメモリ(情報を一時的に保持・処理する能力)が特定の状況で過負荷になっていることを示唆していました。
データに基づいた実践:ワーキングメモリ負荷を軽減する工夫
データ分析で見えた課題と遺伝子傾向の示唆に基づき、私はワーキングメモリの負荷を軽減するための具体的な実践をいくつか試みました。
- タスクの細分化と外部化: 複雑なタスクは、実行可能な最小単位にまで分割しました。思考プロセスも、頭の中だけで完結させず、ホワイトボードに書き出す、フローチャートを作成する、といった方法で外部に「見える化」することを徹底しました。これにより、一度に頭で抱える情報量を減らすことができました。
- シングルタスクの徹底: 作業時間中は、原則として一つのタスクに集中することを意識しました。通知はオフにし、関係のないウィンドウは閉じました。急な割り込みが発生した場合は、すぐにそのタスクに取り掛かるのではなく、現在のタスクを明確に中断してから新しいタスクに移るようにしました。
- 意図的な休憩: ポモドーロテクニック(25分作業、5分休憩など)を参考に、短時間の休憩を定期的に挟むようにしました。データから、長時間連続して作業するよりも、短い休憩を挟んだ方が後半の集中度や思考の明瞭度が高まる傾向が見られたためです。
- 環境の調整: 作業環境から視覚的、聴覚的な刺激を減らしました。整理整頓された机、ノイズキャンセリングイヤホンの使用などです。
実践の結果と変化
これらの実践を継続した結果、私の仕事における「思考の詰まり」は明らかに軽減されました。
- 以前に比べて、複雑な要件や設計も段階的に、落ち着いて考えられるようになりました。
- タスク中断による混乱が減り、タスク完了までの時間が短縮されるケースが増えました。
- 特に午後の時間帯の集中力の維持が以前より容易になり、一日を通して安定したパフォーマンスを発揮できるようになりました。
- 思考の負荷が減ったことで、仕事終わりの精神的な疲労感が軽減されたことも大きな変化です。
これらの変化は、漠然とした感覚だけでなく、タスクログの中断回数の減少や、主観的評価データにおける集中度・思考の明瞭度の改善といった形でも確認することができました。
工夫点と今後の展望
この実践を進める上で最も重要だったのは、遺伝子傾向をネガティブに捉えるのではなく、「自分はこういう特性を持っている可能性が高いから、それに合わせた工夫をすれば良い」とポジティブに受け止めることでした。また、データ収集と分析も継続することが重要です。最初は少し手間に感じましたが、自分自身の思考パターンや最適な働き方を客観的に知るための貴重な手がかりとなりました。
今後も、このワーキングメモリ負荷軽減の実践を続けつつ、さらに他のデータ(例:睡眠時間、食事内容)との関連性も探っていきたいと考えています。私の体験が、遺伝子・データに基づいたメンタルケアに興味を持つ他の皆様にとって、具体的な実践への一歩を踏み出すヒントとなれば幸いです。