わたしの個別ケアジャーニー

遺伝子検査で見えた私のストレス傾向:データ記録から見つけた具体的な対処法の実践体験

Tags: 遺伝子検査, データ活用, メンタルケア, ストレス対処, 体験談

遺伝子とデータに基づくメンタルケアへの第一歩

仕事のプレッシャーや日々の生活の中で、漠然とした不安や気分の波に悩むことが増えていました。従来のメンタルケアに関する情報に触れる中で、自分に何が合うのか手探り状態が続き、効果を実感しにくい日々でした。そんな中、「遺伝子やデータに基づいて、より個別化されたケアが可能になる」という考え方に触れ、「これこそが、私が求めているものかもしれない」と強く惹かれました。

特に、ITエンジニアという職業柄、データに基づいて論理的に物事を捉える習慣があったため、自分の心身の状態をデータとして客観的に捉え、それに基づいてアプローチを変えていく、というプロセスに大きな可能性を感じました。

そこで、私は遺伝子検査を受けることを決意しました。そして同時に、日々の自分の行動や心身の状態を具体的に記録することを始めました。これが、私の「個別ケアジャーニー」の始まりです。

遺伝子検査結果とデータ収集の開始

遺伝子検査の結果を受け取ったとき、私の関心を最も引いたのは、ストレス反応に関連するとされる遺伝子タイプに関する情報でした。具体的には、感情の調整に関わる神経伝達物質の働きに影響を与える可能性のある遺伝子において、ストレスホルモンへの感受性が比較的高い傾向を示すタイプであることが分かりました。

もちろん、これはあくまで「傾向」であり、確定的な「診断」ではありません。しかし、この結果を見て、私が日頃感じていたストレスへの敏感さは、こうした遺伝的な要因も関係しているのかもしれない、と自分自身を理解する一つの手がかりを得られたように感じました。

この遺伝子情報と自分の体感とを結びつけるため、私はさらに詳細なデータ収集を開始しました。具体的には、以下の項目を記録することにしました。

これらのデータは、スマートフォンのヘルスケアアプリ、専用の記録アプリ、そして自分用にカスタマイズしたスプレッドシートを組み合わせて記録しました。特にスプレッドシートでは、遺伝子検査の結果で示された傾向を意識しながら、記録したデータと気分の変化との相関を自分なりに分析することを試みました。

遺伝子・データに基づく具体的な実践

遺伝子検査の結果で示された「ストレスへの感受性の高さ」という傾向と、収集した日々のデータを見比べる中で、いくつかのパターンが見えてきました。例えば、睡眠時間が〇時間を切ると、翌日の気分スコアが顕著に低下し、些細なことでイライラしやすくなる傾向があること。また、特定の食品を摂取した後に集中力が持続しにくいように感じられることなどです。

これらの気づきに基づき、私は具体的なメンタルケアの実践をスタートしました。

  1. 睡眠の質向上: 遺伝子傾向とデータから睡眠の重要性を再認識し、毎日同じ時間にベッドに入る、寝る前の1時間はスマホを見ないといったルールを設定しました。最初は難しかったのですが、睡眠データが少しずつ改善されるのを見るのが励みになりました。
  2. 食事内容の見直し: データから特定食品との関連が疑われたため、それらを意識的に減らす、あるいは食べる時間帯を調整するなどの試みを行いました。また、遺伝子検査で示された栄養素の代謝に関する情報も参考に、特定のビタミンやミネラルを含む食品を意識的に摂るようにしました(ただし、これはあくまで体験に基づく工夫であり、専門家の指導を受けたわけではありません)。
  3. ストレス時の行動: ストレスを感じた時の気分のデータと、その日の活動記録を見比べる中で、「少し体を動かす」ことが気分転換に有効な場合が多いことに気づきました。そこで、仕事中に煮詰まったら数分間ストレッチをする、休憩時間に近所を軽く散歩するなど、意識的に体を動かす時間を取り入れました。
  4. 気分の記録と早期対応: 気分のスコア化を続けることで、自分の気分の波を客観視できるようになりました。「今日は少し気分が優れないな」と早い段階で気づけるようになり、そのような時は無理をせず、休息を優先したり、好きな音楽を聴いたりするなど、悪化する前に対応する工夫ができるようになりました。

実践を通して得られた変化と気づき

これらの取り組みを継続した結果、最も大きな変化は、「自分の心身の状態に対して、より主体的かつ具体的に対処できるようになった」ことです。

以前は、気分の落ち込みや集中力の低下といったメンタルの不調を感じても、「なぜだろう」「どうすればいいのだろう」と漠然と悩むだけでした。しかし、遺伝子という自身の傾向を知り、さらに日々の具体的なデータを記録・分析することで、不調の背景にある可能性のある要因や、それに対する具体的なアプローチ方法が見えるようになりました。

例えば、データ上、睡眠不足が明らかであれば、「ああ、昨日の睡眠不足が原因かもしれないな。今日は早めに休息を取ろう」と具体的な行動につながります。これは、単なる精神論ではなく、自身の遺伝的傾向と客観的なデータに基づいているため、納得感があり、行動に移しやすかったように感じます。

実践を続ける中で、気分の波が完全になくなったわけではありませんが、その波の幅が小さくなり、回復も早くなったように感じています。また、自分自身の心身の状態に対する解像度が上がり、小さな変化にも気づきやすくなりました。これは、データとして記録しているからこそ得られた感覚だと思います。

うまくいかなかった点としては、最初は何をどう記録すれば良いか分からず、記録自体がストレスになる時期もありました。しかし、試行錯誤の結果、自分にとって無理なく続けられる項目やツールを見つけることができました。また、遺伝子検査の結果だけで全てが決まるわけではない、という冷静な視点を保つことも重要だと感じています。あくまで「傾向」であり、日々の環境や行動の影響が大きいことを忘れずに、データと向き合う姿勢が大切です。

今後の展望とメッセージ

私の個別ケアジャーニーはまだ始まったばかりです。今後は、さらに詳細なデータを取得できるウェアラブルデバイスを活用したり、栄養データとメンタルヘルスの関連についてさらに学びを深めたりしながら、ケアの精度を高めていきたいと考えています。

遺伝子・データに基づくメンタルケアは、一人ひとりに合ったアプローチを見つけるための強力なツールとなり得ると、私の体験を通して実感しています。もし今、メンタルケアの実践に悩んでいたり、自分に合う方法が分からずにいる方がいらっしゃいましたら、まずはご自身の遺伝子情報を知ることから始めてみる、そして同時に、ご自身の心身の状態や日々の行動をデータとして記録してみることをお勧めします。

全ての人に同じ方法が合うわけではありません。しかし、遺伝子とデータという客観的な情報に基づいて、自分自身の「取扱説明書」を作成していくようなプロセスは、きっとあなただけの、そしてあなたに最適なケア方法を見つけるための大きな一歩となるはずです。このコミュニティが、そのジャーニーのヒントや支えとなることを願っています。