わたしの個別ケアジャーニー

遺伝子タイプと作業データから見つけた:私の完璧主義との具体的な付き合い方実践体験

Tags: 完璧主義, 遺伝子検査, 行動データ, データ分析, メンタルケア, 実践, ストレス管理, 生産性

完璧主義傾向との葛藤:遺伝子・データに着目した理由

私は以前から、物事を完璧にこなそうとする傾向が強いと感じていました。特に仕事では、細部までこだわりすぎてタスク完了に時間がかかったり、些細なミスにも過剰に落ち込んだりすることがしばしばありました。この完璧主義が、かえって作業効率を下げ、常にストレスや疲労を感じる原因になっているのではないか、という課題意識を持つようになっていました。

メンタルケアに関心を持つ中で、「わたしの個別ケアジャーニー」のような遺伝子やデータに基づくアプローチがあることを知り、私のこの完璧主義傾向にも何か遺伝的な背景があるのだろうか、あるいはデータとして客観的に捉えることで、より良い付き合い方が見つかるのではないか、と考えたのが、今回の実践を始めたきっかけです。理論だけでなく、自分自身の具体的なデータを通して解決策を探求したいという思いがありました。

私の遺伝子タイプと完璧主義に関連しそうな情報

私が受けた遺伝子検査では、ストレスへの反応性や、新しい情報に対する処理の仕方に関連すると思われるいくつかの遺伝子傾向が示されました。検査結果そのものが「あなたは完璧主義です」と断定するわけではありませんが、例えば、特定のストレス因子に対してより敏感に反応しやすい傾向や、細かい情報に注意を払いやすい傾向などが読み取れました。

これらの遺伝子情報と、私が抱える完璧主義傾向を結びつけて考えたとき、「もしかすると、私のこのこだわりは、生来の情報処理スタイルやストレスへの反応性といった特性が影響しているのかもしれない」という推測に至りました。これは、完璧主義を単なる「性格」としてではなく、より生物学的な側面からも理解しようとする第一歩となりました。

完璧主義傾向をデータで捉える:具体的な収集と分析

遺伝子情報だけでは、具体的な行動変容にはつながりません。そこで、私の完璧主義傾向がどのような状況で強まり、どのように私のメンタルや作業に影響しているのかを客観的に把握するため、日々の作業データを収集することにしました。

具体的には、以下の項目を記録しました。

これらのデータを約1ヶ月間収集しました。最初は記録自体が面倒に感じましたが、スマートフォンのアプリを活用したり、定時後にまとめて入力したりする工夫で継続しました。

収集したデータをスプレッドシートにまとめ、簡単な集計やグラフ化を行いました。特に注目したのは、「予定所要時間と実際の所要時間の差が大きいタスク」、「修正・手戻りが多いタスク」と、「作業中の気分」や「睡眠時間」との相関関係です。

分析の結果、以下のようなパターンが見えてきました。

これらのデータパターンと、遺伝子検査で示された「ストレスへの反応性」や「情報処理の傾向」を照らし合わせたとき、「私の完璧主義は、単なる生真面目さだけでなく、ストレスや疲労によって増幅される性質がある」という可能性がより強く感じられました。

データと遺伝子情報に基づいた実践:試したことと工夫

この分析結果に基づき、具体的な対策をいくつか試みました。

  1. タスクの「完了」基準の再定義:

    • 完璧を目指すのではなく、「まずはここまで完了させる」という最低限のラインを明確に設定しました。特に締め切りが遠いタスクについては、あえて最初から完璧を目指さず、後から見直し時間を設けるようにしました。
    • 「最初のバージョンは8割の完成度で良い」と自分に許可を出す訓練をしました。これは心理的な抵抗がありましたが、意識的に行うことで、タスクの着手や完了がスムーズになることを実感しました。データ上でも、この意識を導入した後のタスクの所要時間が、大幅に短縮される傾向が見られました。
  2. 作業時間のポモドーロテクニック導入:

    • 集中力が続かない、手戻りが多いというデータから、休憩の重要性を再認識しました。25分作業+5分休憩のポモドーロテクニックを導入しました。
    • 休憩中は、軽いストレッチや飲み物を用意するなど、意識的に作業から離れるようにしました。これにより、集中力が持続しやすくなり、疲労感も軽減されました。データ上でも、休憩頻度を増やしたことで、長時間の作業における集中度の低下が緩やかになる様子が観察されました。
  3. 睡眠時間の確保と作業効率の関係性の意識:

    • 睡眠不足が完璧主義傾向を悪化させるというデータに基づき、可能な限り毎日7時間以上の睡眠を確保するよう努めました。
    • もし睡眠時間が短かった日は、その日の作業は「完璧でなくても大丈夫」と自分に言い聞かせ、難易度の高いタスクや細かい精度が求められるタスクは避ける、あるいは共同作業者にレビューを依頼するなど、意識的に負担を軽減する対策を取りました。
  4. 内省の時間の設定:

    • 日々の記録と分析を通して、自分の思考パターンや感情の動きを客観的に見つめる時間を設けました。なぜ完璧にこだわってしまうのか、その背景にある不安や恐れは何か、といった内的な部分にも目を向けました。
    • 遺伝子検査結果で示されたストレス反応傾向を踏まえ、自分は特定の状況でストレスを感じやすいタイプなのだと理解することで、完璧にできない自分を責める気持ちが少し和らぎました。

うまくいかなかった点としては、当初はデータ収集そのものが目的化してしまい、分析や実践に繋がりにくい時期もありました。また、「8割で完了」という基準設定も、無意識のうちに細部を気にしてしまい、意識的な努力が必要でした。これらは、定期的に自分のデータを見返し、なぜこの実践が必要なのかを再確認することで乗り越えていきました。

実践を通して得られた変化と気づき

この数ヶ月間の実践を通して、いくつかの具体的な変化を感じています。

最も大きな変化は、タスク完了までのスピードが上がったことです。完璧を目指しすぎない「8割完了」の意識を持つことで、最初のバージョンを素早く作成し、その後の見直しで精度を上げていくというフローが定着してきました。これにより、全体の作業時間が短縮され、より多くのタスクに取り組めるようになりました。

また、メンタル面でも変化がありました。細かなミスに対する過剰な落ち込みが減り、フラストレーションを感じる頻度も減りました。完璧にできない自分を責めるよりも、「今回は8割でOK」「次はここを改善しよう」と建設的に考えられるようになったからです。これは、遺伝子情報とデータを通して自分の傾向を客観的に理解できたことが大きく影響していると感じています。

さらに、データに基づいた具体的な対策は、漠然とした「もっと頑張らなきゃ」という根性論ではなく、自分の特性に合わせた現実的なアプローチだと感じています。睡眠時間や休憩の重要性をデータが示してくれたことで、メンタルケアのための行動を、タスク管理の一環として自然に組み込めるようになりました。

この体験を通して、遺伝子情報は自分自身の取扱説明書の一部であり、日々の行動データはその説明書を読み解き、具体的な活用法を見つけるための羅針盤のようなものであると実感しました。

今後の展望と読者へのメッセージ

私の完璧主義傾向との付き合いは、これで終わりではありません。今後も定期的に作業データを記録・分析し、自分の変化や新たな課題に合わせて対策をアップデートしていく必要があると考えています。特に、新しい環境やプロジェクトに取り組む際に、このデータに基づいたアプローチがどのように活かせるかに関心があります。

「わたしの個別ケアジャーニー」の読者の皆様の中にも、私と同じように特定の傾向(完璧主義に限らず、様々な特性)に悩んでいる方や、遺伝子検査の結果をどう活かせば良いか迷っている方がいらっしゃるかもしれません。私の体験はあくまで一個人の事例であり、すべての方に当てはまるわけではありません。しかし、遺伝子情報と日々の具体的なデータを組み合わせることで、抽象的な理解から、自分に合った具体的な実践方法を見つけることができる可能性がある、ということをお伝えできれば幸いです。

データは時に、自分の感覚だけでは気づけない客観的な事実を示してくれます。そして、遺伝子情報は、そのデータの背景にある可能性のある要因について示唆を与えてくれます。この二つを組み合わせることで、自分自身のメンタルとの向き合い方に、よりパーソナルで実践的なアプローチを取り入れることができると私は信じています。皆様の個別ケアジャーニーの一助となれば嬉しいです。