遺伝子傾向とタスク完了データ分析で見つけた：私の実行機能向上実践体験
遺伝子・データから見えてきた、計画通りに進まない私
「わたしの個別ケアジャーニー」をご覧いただきありがとうございます。私は、日々の仕事や個人的な目標において、「計画通りに進めること」や「タスクを期日までに完了させること」に長年課題を感じていました。頭ではやるべきことを理解しているつもりでも、いざ取り掛かろうとすると集中力が続かなかったり、別のことに気を取られてしまったり、そもそも何から始めれば良いか分からなくなったりすることが頻繁にありました。これは私のキャリアやメンタルヘルスにも少なからず影響を与えていました。
従来の一般的な対策（時間管理術やToDoリスト作成）も試してみましたが、一時的な効果はあっても、根本的な改善には至りませんでした。自分自身の「なぜできないのか」という部分に深くアプローチしたいと考えていた時、遺伝子やデータに基づくアプローチがあることを知り、「わたしの個別ケアジャーニー」コミュニティにたどり着きました。
遺伝子情報がメンタルの特定の傾向を示唆しうるという考え方は、データに関心のある私にとって非常に魅力的に映りました。自分の内面的な傾向を、客観的なデータや生まれ持った情報から理解できるかもしれない、と考えたのです。そして、この遺伝子情報を手掛かりに、具体的な行動データを収集・分析することで、自身の課題である「実行機能」に関連する困難の正体を見つけ出し、克服に向けた個別最適なアプローチを見つけられるのではないかと期待しました。
遺伝子情報が示唆した実行機能への示唆とデータ収集の開始
私はまず、特定のメンタル傾向や脳機能に関連する遺伝子傾向を調べられる検査を受けました。その結果、私の遺伝子傾向が、例えば衝動性の高さや、タスクの切り替え・維持に関わる可能性を示唆するものであったことが分かりました。もちろん、これはあくまで遺伝子的な「傾向」であり、全てが決まるわけではないことを理解していましたが、長年感じていた自分の「なぜかうまくいかない」という感覚に、一つの客観的な示唆が与えられたように感じました。
次に、この遺伝子傾向を念頭に置きつつ、自身の実際の行動データを詳細に収集することを始めました。使用したのは、タスク管理アプリ、時間計測アプリ、そして簡単な日々の行動記録アプリです。
具体的には、以下のデータを収集しました。
- タスク完了データ: 各タスクの開始時間、完了時間、中断回数、完了率
- 時間計測データ: 特定の作業にどれくらいの時間を費やしたか、集中が持続した時間
- 行動ログ: その日にやったこと、感じたこと（特にタスクに関連して）、場所、一緒にいた人など
- 気分・エネルギーレベル: 1日のうち数回、簡単なスケールで記録
これらのデータを、遺伝子情報で示唆された傾向（例：衝動性、切り替えの苦手さ）と照らし合わせながら分析しました。例えば、「衝動性が示唆される遺伝子傾向を持つ自分が、タスクの中断が多いのはどんな時か」「タスク完了率が低いタスクにはどんな共通点があるか」「集中力が途切れる前にどのような兆候があるか」といった視点です。
データ分析から見えたパターンと具体的な実践
データ分析を進める中で、いくつかの具体的なパターンが見えてきました。
- 朝一番にメールチェックやSNSを見てしまうと、その後の午前中のタスク完了率が顕著に低下する傾向がある。
- 見積もりが1時間以上のタスクは、途中で手が止まり、完了までにかかる時間が極めて長くなるか、未完了に終わることが多い。
- 周囲に人の気配がある場所（カフェなど）よりも、静かで一人になれる場所（自宅の作業スペース）の方が、集中が持続し、タスク完了率が高い。
- 特定の時間に軽い運動（例：15分程度のウォーキング）を取り入れると、その後の集中力やタスクへの取り掛かりやすさが向上する。
これらのデータ分析の結果と、遺伝子情報で示唆された「傾向」を組み合わせ、「私にとっての実行機能のボトルネックは何か」を仮説立てました。私の場合は、「外部刺激による注意の散漫さ」と「大きなタスクを前にした際の圧倒されやすさ」が主な課題であると推測しました。
この仮説に基づき、具体的な実践計画を立て、行動に移しました。
- 朝のルーティン改善: 起床後30分間は、メールやSNSを見ない時間を設ける。その間に、その日一番重要なタスクの一つに着手する。
- タスクの細分化: 1時間以上かかりそうなタスクは、必ず30分～45分程度のより小さなステップに分割する。最初のステップだけに着手することを目標にする。
- 環境調整: 可能な限り、静かで気が散りにくい場所で作業する時間を増やす。作業中はスマートフォンをサイレントモードにし、手の届かない場所に置く。
- ブレークの活用: 集中が途切れやすい時間帯の少し前に、意図的に短いブレーク（5分程度のストレッチや深呼吸）を挟む。
- 運動の定着: データで効果が見られた午前の運動習慣を定着させる。
これらの実践は、特別なものではありませんが、私の遺伝子傾向と行動データ分析に基づいて「私にとって効果的な可能性が高いもの」として選ばれ、実行されました。
実践による変化と得られた気づき
これらの実践を数ヶ月続けた結果、データと感覚の両方で変化が見られるようになりました。
タスク管理アプリのデータでは、特に午前中のタスク完了率が平均で約20%向上しました。また、時間計測アプリのデータでは、一つのタスクに集中して取り組める平均時間も緩やかに伸びていることが確認できました。大きなタスクも、細分化することで心理的なハードルが下がり、着手・完了できるようになっていきました。
主観的にも、「何をすれば良いか分からずフリーズする」感覚が減り、目の前のタスクに集中しやすくなったと感じています。小さなタスクを完了させるたびに得られる達成感が、次のタスクへのモチベーションにつながる好循環も生まれました。
もちろん、全てがうまくいったわけではありません。データ収集を忘れてしまったり、習慣が途切れてしまったりすることもありました。しかし、データを見返すことで「なぜうまくいかなかったのか（例：疲れていた、環境が悪かった）」を分析し、対策を微調整することができました。この「データを見て改善する」サイクルを回すことが、継続の鍵であったと感じています。
遺伝子情報は、あくまで私の傾向を示唆するものであり、それが全てではありません。しかし、その傾向を知った上で、実際の行動データを丁寧に見つめ、両者を照らし合わせることで、「自分はこういう時に、こういう行動パターンになりやすい」という解像度が非常に高まりました。この自己理解が深まったことが、漠然とした課題感から具体的な対策へと進む大きな推進力となったのです。
今後の展望と読者へのメッセージ
私の実行機能向上ジャーニーはまだ続いています。今後は、さらに詳細な行動データ（例：特定のツール使用状況、他の身体データとの関連性）を分析し、より精緻な個別ケアを試していきたいと考えています。また、遺伝子情報が示唆する他の傾向についても、データ分析を通じて理解を深め、統合的なメンタルケアに繋げていくことが目標です。
私と同じように、ご自身の「なぜかうまくいかない」という課題に対し、具体的なアプローチを見つけたいと考えている方もいらっしゃるかもしれません。遺伝子情報と日々の行動データを組み合わせたアプローチは、自分自身の傾向を客観的に捉え、個別最適な対策を見つけるための一つの有力な手段となり得ます。
遺伝子検査の結果だけに囚われるのではなく、それが示唆する可能性を、実際の行動データと照らし合わせながら探求すること。そして、そこから見えてきた小さなヒントをもとに、具体的な行動を試し、その結果を再びデータで確認する。この地道なプロセスこそが、自分だけの「個別ケアジャーニー」を切り拓いていく道なのではないかと、私の体験を通じて感じています。
この記事が、読者の皆様ご自身の個別ケアジャーニーを進める上で、少しでも参考になれば幸いです。