遺伝子傾向と習慣トラッカーデータから見つけた:新しい習慣を定着させる私の実践体験
新しい習慣が続かない悩みと遺伝子・データへの関心
新しい習慣を身につけたい、そう思ってもなかなか続かないことに長年悩んでいました。例えば、「毎朝10分散歩する」「寝る前に軽いストレッチをする」「週に3回プログラミングの学習時間を作る」など、目標を立てても三日坊主で終わってしまうことがほとんどでした。意志が弱いのではないか、と自分を責めることもありました。
そんな時、「わたしの個別ケアジャーニー」のような、遺伝子やデータに基づいたアプローチがあることを知り、自分自身の特性を知ることで、より効果的な習慣化の方法が見つかるのではないか、と期待を持つようになりました。特に、ITエンジニアという職業柄、データ分析や論理的な思考は得意な分野です。感覚的な「頑張る」だけではなく、自身の特性をデータで理解し、科学的なアプローチで習慣化に挑んでみたいと考えました。
遺伝子情報と行動データの収集・分析
まず、メンタルケアに関連する遺伝子検査を受けました。私の遺伝子傾向からは、例えば報酬系の感受性や、新しい行動に対する慣れやすさについて、いくつかの示唆が得られました。具体的な遺伝子名はここでは伏せますが、全体的な傾向として、新しい習慣を始めることに対して少しハードルがある可能性や、習慣化のための報酬設計が重要になる可能性などが示唆されていました。これは、過去に習慣が続かなかった経験と照らし合わせても、納得のいく部分がありました。
次に、具体的な行動データの収集を開始しました。習慣トラッカーアプリをスマートフォンにインストールし、定着させたい習慣(例:朝のストレッチ、読書20分、特定スキル学習30分など)を登録しました。さらに、その習慣を実行できたかどうかの記録に加え、その日の気分(5段階評価)、睡眠時間、簡単な食事内容、その習慣を実行した時間帯や場所なども記録しました。記録期間はまず1ヶ月間と定めました。
これらのデータを定期的に振り返ることにしました。特に重視したのは、習慣が実行できた日とできなかった日の違いです。気分、睡眠時間、時間帯、場所といった行動データと、自身の遺伝子傾向で示唆された特性(例:特定の報酬に強く反応するかどうか、単調な繰り返しに飽きやすいかなど)を結びつけて分析しました。
データから見えてきた仮説と具体的な実践
データ分析の結果、いくつかの仮説が浮かび上がりました。
例えば、 * 朝一番よりも、帰宅後や就寝前の特定の時間帯の方が習慣の実行率が高い傾向がある。 * 習慣の目標を小さく設定した日(例:ストレッチ5分など)は継続しやすいが、大きく設定した日(例:ストレッチ30分など)は途中で挫折しやすい。 * 気分が良い日、特に達成感を感じた後などは、次の習慣にも取り組みやすい。 * 単に記録するだけでなく、習慣を達成した際に簡単な自己承認(アプリでのスタンプ付与など)を意識すると、モチベーション維持に繋がる。
これらの仮説に基づき、実践方法を具体的に変更していきました。
- 習慣の開始時間と場所の見直し: データで実行率の高かった帰宅後の時間帯に、習慣の開始を固定しました。場所も、リビングの決まったスペースで行うようにしました。
- 目標の細分化とスモールスタート: 例えば「読書20分」を「まず本を開く」「1ページ読む」「5分読む」のように細分化し、最初のハードルを可能な限り下げました。「今日の目標はストレッチ3分」のように、最低限の目標を設定し、クリアできたらそれ以上行っても良い、というルールにしました。
- 習慣のトリガー設定: 「夕食を食べ終わったらすぐに読書を開始する」「歯磨きをしたらストレッチをする」のように、既存の行動と新しい習慣を結びつける「トリガー」を設定しました。
- 達成時の簡単な報酬: 習慣トラッカーアプリに記録する際に、達成した自分を心の中で褒めたり、「これで〇〇(次にやりたいこと)をする準備ができた」といったポジティブな言葉を意識的に唱えたりしました。これは遺伝子傾向で示唆された報酬への反応性を意識したもので、小さな達成感を積み重ねることを目的としました。
実践を通して得られた変化と気づき
これらの具体的な実践を続けることで、習慣の定着率が目に見えて向上しました。特に、目標を細分化し、トリガーを設定したことが効果的でした。データ上でも、これらの変更を加えた後の習慣実行率が、明らかに改善されていることが確認できました。
最も大きな変化は、習慣が続かないことに対する自己否定感が減ったことです。自分の意志が弱いのではなく、自身の遺伝子傾向に基づいた特性と、これまでのアプローチ方法が合っていなかっただけだと理解できました。データという客観的な根拠に基づき、試行錯誤しながら自分に合った方法を見つけられたことで、自信を持って習慣化に取り組めるようになりました。
また、習慣トラッカーのデータだけでなく、気分や体調、環境といった他のデータも合わせて記録し、分析することで、習慣の継続に影響を与える要因を多角的に捉えられるようになりました。例えば、睡眠不足の日や特定の食品を摂取した後などは、習慣に取り組むのが億劫になる傾向があるなど、自身のパターンを把握できたことは大きな学びでした。
工夫点と今後の展望
今回の取り組みで工夫した点は、完璧を目指さないことです。データ上、習慣をスキップしてしまった日があっても、それは失敗ではなく、自分の特性やその日の状態を知るための貴重なデータだと捉え直しました。なぜ続けられなかったのかをデータから分析し、次に活かすというサイクルを回すことを意識しました。
また、習慣化は一度成功したら終わりではなく、継続的な調整が必要だと感じています。生活環境や自身の状態は常に変化するため、習慣が定着した後も定期的にデータを振り返り、必要に応じて目標やトリガー、時間帯などを見直していくことが重要だと考えています。
今後は、この経験を活かして他の新しい習慣(例:特定のスキルの学習、健康的な食事の準備など)の定着にも応用していきたいと考えています。自身の遺伝子傾向と日々のデータを味方につけることで、無理なく、そして効果的に自己改善を進められる手応えを得ることができました。
遺伝子・データに基づくメンタルケアと聞くと難しく感じるかもしれませんが、まずは自分にとって身近な習慣や課題に焦点を当て、簡単なデータ記録から始めてみることをお勧めします。自身の特性を理解し、データに基づいた小さな工夫を積み重ねることが、変化への第一歩になるはずです。この体験談が、同じように新しい習慣の定着に悩む方々にとって、何らかのヒントになれば幸いです。