わたしの個別ケアジャーニー

遺伝子情報と不安・自己肯定感データ分析:私が行った二つの課題への統合的メンタルケア実践

Tags: 遺伝子, データ分析, 不安, 自己肯定感, メンタルケア

遺伝子とデータが導いた、不安と自己肯定感への統合アプローチ

私のメンタルヘルスジャーニーにおいて、長年向き合ってきた課題が二つありました。一つは漠然とした不安感、もう一つは自己肯定感の低さです。特に新しい挑戦をする際や、他者との比較を感じる場面で、これらの感情が強く現れ、行動を制限することが少なくありませんでした。

様々なセルフケアを試してきましたが、根本的な解決には至らず、自分自身のメンタル特性をより深く理解する必要があると感じていました。そんな中、「わたしの個別ケアジャーニー」で遺伝子・データに基づくアプローチを知り、科学的な視点から自分を分析してみようと考えたのが、この実践を始めるきっかけでした。

私の遺伝子傾向と、不安・自己肯定感への示唆

まず、メンタルヘルスに関連する遺伝子検査を受けました。検査結果には、ストレスへの反応性や、気分の調節に関わる神経伝達物質の代謝に関連する可能性のあるいくつかの遺伝子傾向が示されていました。具体的な遺伝子名を挙げることは控えますが、例えば、特定のストレス要因に対する感受性がやや高い傾向や、気分を安定させる働きを持つ可能性のある物質の代謝に関わる遺伝子に特徴が見られました。

これらの情報は、私が日頃感じている漠然とした不安感が、単なる心理的な要因だけでなく、生まれ持った生物学的な傾向とも関連している可能性を示唆しているように感じられました。また、自己肯定感の低さについても、完璧主義傾向や、他者からの評価に対する感受性といった特性が、特定の遺伝子傾向と関連づける記述があることを知りました。もちろん、遺伝子傾向が全てを決めるわけではなく、あくまで「傾向」であることは理解しています。しかし、これまで漠然としていた自分の特性に、一つの客観的な手がかりが得られたことは大きな発見でした。

データ収集で見えた、不安と自己肯定感の「リアル」

次に、遺伝子情報で得られた示唆を検証し、具体的な行動に繋げるために、日々のデータを収集することにしました。使用したのは、スマートフォンのメンタルヘルス記録アプリと、簡単なスプレッドシートです。

記録項目は、主に以下の通りです。

これらのデータを約3ヶ月間継続して記録しました。最初のうちは記録自体が負担に感じることもありましたが、日々の自分の状態を客観的に捉えるために必要なプロセスだと考え、習慣化を心がけました。

遺伝子傾向とデータを重ね合わせた分析プロセス

データが蓄積された後、遺伝子傾向と収集したデータを組み合わせて分析を行いました。私が行ったのは、特定の遺伝子傾向に関連するであろう特性(例: ストレス感受性の高さ)と、データに現れた不安レベルの上昇や自己肯定感の低下が、どのような状況や行動パターンと関連しているかを探索することです。

例えば、私の遺伝子傾向の一つに、特定のストレスホルモンの代謝に関連する可能性が示唆されているものがありました。この遺伝子傾向を踏まえ、データ分析で「不安レベルが高い日」に焦点を当てると、睡眠時間が短い、または断続的であった日が多いというパターンが見えてきました。また、カフェインを特定の時間帯以降に多く摂取した日も、夜間の不安が高まる傾向が確認されました。これは、私の遺伝子傾向が示すストレス感受性と、睡眠やカフェイン摂取という具体的な行動データが関連している可能性を示唆していました。

自己肯定感については、成功体験や感謝していることを記録した日は自己肯定感レベルが高い傾向にある一方で、SNSで他者と比較するような情報に触れた日は明らかにレベルが低下するというパターンが強く見られました。さらに、タスクを完璧にこなせなかったと感じた日の自己肯定感の低下が著しいこともデータから明らかになりました。これは、私の遺伝子傾向に見られる「完璧主義傾向」とデータが示す自己肯定感のパターンが一致している可能性を示唆していました。

データ分析に基づいた具体的な実践と工夫

この分析結果に基づき、不安と自己肯定感という二つの課題に対し、よりパーソナルなケアを実践することにしました。

  1. 睡眠の質と時間の改善:

    • 遺伝子傾向とデータから睡眠不足が不安を高める可能性が高いと判断し、まずは睡眠時間の確保(最低7時間)と質の向上を最優先しました。
    • 具体的には、カフェイン摂取は午前中までとし、寝る前のブルーライトを避ける、寝室環境を整えるといった基本的なことから始めました。
    • うまくいかなかった点としては、仕事が忙しい時期に睡眠時間を確保するのが難しいことでした。これに対しては、可能であれば仮眠を取り入れたり、週末に少し長めに寝るなど、柔軟な対応を試みました。
  2. 不安トリガーへの対策:

    • データから特定の状況(例: 大勢の前での発言、予期せぬ変更への対応)で不安が高まることが分かったため、これらの状況への準備を丁寧に行うようにしました。
    • 不安が高まった際には、データ記録で見つけた効果的な対処法(例: 深呼吸、短い散歩、好きな音楽を聴く)を意識的に行うようにしました。
  3. 自己肯定感向上のための具体的な行動:

    • データが示す通り、成功体験や感謝を記録することが有効であったため、「今日の良かったこと3つ」を毎日寝る前に記録する習慣を定着させました。
    • 完璧主義傾向が自己肯定感を下げていることを踏まえ、「Good Enough(十分だ)」という考え方を意識し、タスクの完了よりもプロセスや学びを重視する視点を取り入れました。うまくいかなかったタスクも、「何を学べたか」という視点で記録することで、ネガティブな感情を引きずりにくくなりました。
    • SNSの利用時間を制限し、他者との比較を避けるように心がけました。

実践を通して得られた変化と気づき

これらの実践を継続することで、私のメンタル状態には徐々に変化が現れました。まず、漠然とした不安感が軽減され、特定の状況で不安が高まっても、データに基づいた対処法を使うことで落ち着きを取り戻せるようになりました。また、睡眠の質が向上したことも、日中の集中力や気分の安定に繋がっていることを実感しています。

自己肯定感についても、日々のポジティブな記録を続けることで、自分の良い点や成長を意識できるようになりました。完璧主義を手放し、「十分だ」と考える習慣がついたことで、失敗を過度に恐れることなく、新しいことに挑戦するハードルも下がりました。

このジャーニーを通して最も大きな気づきは、自分のメンタルの課題が、遺伝子という生物学的な側面と、日々の生活習慣や思考パターンという環境的な側面の複雑な相互作用によって生まれているということ、そしてその両方をデータに基づいて理解し、アプローチすることで、より効果的なケアが可能になるという点です。抽象的な対策ではなく、自分自身の具体的なデータに基づいた対策は、腑に落ちやすく、継続しやすいと感じました。

今後の展望とメッセージ

遺伝子・データに基づいたメンタルケアは、私にとって自己理解を深め、具体的な行動変容を促す強力なツールとなりました。今後も定期的にデータを振り返り、その時の自分の状態に合わせたケアをアップデートしていきたいと考えています。

私と同じように、漠然としたメンタルの課題を抱えている方、遺伝子検査を受けたもののどう活かせば良いか分からないと感じている方に、私の体験が少しでも参考になれば幸いです。自分自身のデータを集め、遺伝子情報というヒントと照らし合わせながら、自分だけのケア方法を見つけていくジャーニーは、時に試行錯誤が必要ですが、その過程で得られる自己理解と具体的な変化は、何物にも代えがたい価値があると感じています。このコミュニティで、様々な方の体験談から学びを得ながら、私の個別ケアジャーニーを続けていきたいと思います。