遺伝子タイプと日々の感情データ:私が行った感情の切り替え向上実践体験
些細なことで落ち込みがちだった私が、遺伝子とデータ分析で感情の切り替えを学んだ実践体験
私は以前から、一度ネガティブな感情にとらわれると、そこから抜け出すのに時間がかかる傾向に悩んでいました。特に、他者のちょっとした言葉や出来事を深く受け止めてしまい、些細なことでも気分が沈み込み、その状態が数時間、時には一日以上続いてしまうことが少なくありませんでした。
「どうすればもっと早く気持ちを切り替えられるのだろうか」「なぜ自分はこんなにも引きずってしまうのだろうか」という疑問は常に頭の中にありましたが、具体的な解決策を見つけられずにいました。そんな時、「わたしの個別ケアジャーニー」サイトを通じて、遺伝子情報やデータに基づいたメンタルケアというアプローチがあることを知り、自分の特性を深く理解することで、何か突破口が見つかるのではないかと考えるようになりました。
遺伝子情報から示唆された傾向と日々のデータ収集
まず、メンタルやストレス応答に関連すると言われる遺伝子検査を受けました。私の検査結果では、特定の神経伝達物質の代謝に関わる遺伝子に、一般的な傾向とは異なる特徴があることが示唆されました。この傾向は、感情の安定性やストレス反応の度合いに関連する可能性があると説明を受けました。あくまで傾向の一つであり、これが全てではないと理解しつつも、「自分の感情の波や切り替えにくさには、もしかしたら遺伝的な背景も関係しているのかもしれない」と感じ、自身の特性を受け入れるための一助となりました。
次に、この遺伝子的な傾向を踏まえ、日々の感情とそれに影響を与える要因をデータとして記録することにしました。具体的には、スマートフォンのアプリや簡単なスプレッドシートを用いて、以下の項目を記録しました。
- 感情のレベル: 1日複数回、その時の感情(喜び、怒り、悲しみ、不安など)と強さ(1~5の5段階)を記録
- トリガーとなった出来事: 感情が大きく動いたきっかけや出来事(人間関係、仕事のミス、予期せぬトラブルなど)を簡潔に記述
- その時の状況: 出来事があった時間帯、場所、一緒にいた人など
- その時の行動: 感情の波が生じた後、自分がどのように行動したか(例:考え込む、誰かに話す、別の作業をする、休憩する、SNSを見るなど)
- 睡眠時間と質: 前日の睡眠時間、目覚めの気分
- 食事内容: 特にカフェインやアルコール摂取、食事を抜いたかなどを記録
- 運動の有無: 軽い散歩でも記録
このデータ収集を約1ヶ月間続けました。最初は記録すること自体が手間に感じることもありましたが、「自分のパターンを知るための実験だ」と捉え、習慣化を心がけました。
遺伝子情報とデータ分析から見えてきたパターン
1ヶ月分のデータが集まったところで、遺伝子検査の結果と照らし合わせながら分析を行いました。単に感情の波を記録するだけでなく、特定のトリガーや状況と感情の落ち込みやすさ、そしてそこからの回復時間(感情の切り替えにかかる時間)との間にどのような関連があるかを探りました。
分析から見えてきたことはいくつかありました。
- 特定のトリガーとの関連: 遺伝子傾向から示唆されたストレス反応の特徴と関連するのか、特に人間関係における評価や期待とのギャップが、感情が引きずりやすい強力なトリガーになっていることが分かりました。
- 睡眠不足の影響: 睡眠時間が短い日や睡眠の質が低いと感じた日は、些細な出来事でも感情が大きく揺れ動き、その後の切り替えに通常より時間がかかる傾向が見られました。
- 特定の行動パターン: 感情が落ち込んだ際に、一人で考え込んだり、SNSを漫然と見たりする行動は、感情の切り替えをさらに遅らせる傾向があることがデータから示唆されました。一方で、軽い運動や友人との会話、自然に触れるといった行動は、比較的早く感情が回復する傾向が見られました。
これらの発見は、単に「感情の切り替えが苦手だ」という漠然とした自己認識から、「自分の感情は、特定の遺伝子傾向に加え、睡眠、人間関係、そしてその後の行動によって具体的に影響を受けており、特にXXな状況でYYな行動をとると引きずりやすい」という、より具体的で actionable(行動に移しやすい)な理解へと変わりました。
具体的な実践方法と変化
得られたパターンに基づき、感情の切り替えをスムーズにするための具体的なケアを実践しました。
- トリガー時の行動リスト作成: 感情が大きく動きやすい特定のトリガー(例:評価への不安、人間関係の小さな摩擦)が発生した場合に取るべき具体的な行動リストを作成しました。「一人で抱え込まず、信頼できる友人に話す」「5分だけ深呼吸をする」「気分転換に短い散歩に出かける」「好きな音楽を聴く」など、事前に準備しておくことで、感情の波に飲み込まれそうになった時でも冷静に対処できるようになりました。
- 睡眠の優先: データで睡眠不足が感情の切り替えに悪影響を与えることが分かったため、毎日の睡眠時間を確保することを意識しました。就寝・起床時間を一定にし、寝る前のスマートフォンの使用を控えるなど、睡眠の質を高めるための習慣を取り入れました。
- 感情の言語化: 感情の波を感じた時に、その感情に名前をつけ(例:「これは不安だ」「これは失望感だ」)、なぜそう感じているのかを短い言葉で記録する習慣をつけました。これにより、感情を客観視できるようになり、感情そのものに同一化しすぎることを避ける助けとなりました。
- 行動変容の意識: 感情が落ち込んでいる時に避けるべき行動(例:ネガティブな情報ばかり集める、自責的な思考に深く潜り込む)と、推奨される行動(例:軽く体を動かす、ポジティブな情報に触れる)を意識的に選択するようにしました。
これらの実践を続けるうちに、少しずつですが変化を感じるようになりました。以前のように些細なことで深く落ち込むことが減り、たとえ感情の波が生じても、そこから回復し、気持ちを切り替えられるまでの時間が短縮されたのです。データ記録も継続しており、以前は感情の落ち込みを示すグラフの谷が深く、長く続いていたのが、最近では谷が浅くなり、短い時間で回復に向かう傾向が見られるようになりました。これは、単に「頑張る」のではなく、自分の遺伝子的な傾向と実際の行動データを組み合わせることで、自分に合った具体的なアプローチを見つけられた結果だと感じています。
工夫点と今後の展望
実践を続ける上で工夫した点は、データ記録を完璧にやろうとしないことです。最初は毎日欠かさず全ての項目を記録しようとして負担に感じたため、記録できない日があっても気にせず、記録できた日のデータを分析に活かすというスタンスに変えました。また、試したケアがすぐに効果を示さない場合でも、「自分に合う方法を見つけるための試行錯誤の過程だ」と捉え、焦らず継続することを意識しました。
今後は、さらに詳細な行動データ(例:特定の食品摂取、特定の環境での過ごし方)と感情・体調データとの関連性を分析し、よりパーソナライズされたメンタルケア方法を深めていきたいと考えています。
私の体験はあくまで一個人のものですが、遺伝子情報や日々のデータを活用することで、漠然とした悩みが具体的な課題として見え、それに対する具体的なアプローチが可能になることを実感しています。もしあなたが私と同じように、感情の波や切り替えにくさに悩んでいるのであれば、自分の特性を理解し、データに基づいた具体的な実践を取り入れてみることは、変化への一歩となるかもしれません。
この記事が、あなたの「個別ケアジャーニー」の一助となれば幸いです。