わたしの個別ケアジャーニー

遺伝子タイプと日々のデータ分析で見つけた:私にとっての具体的な自己理解プロセス実践体験

Tags: 遺伝子, データ分析, 自己理解, メンタルケア, 実践談

なぜ自己理解を深めようと思ったのか:メンタルケアの次のステップ

メンタルケアを始めて一年ほどが経過し、日々の習慣や考え方を少しずつ改善できるようになってきました。しかし、表面的な対処療法だけでは限界があるように感じ始めたのです。自分自身の根本的な傾向や、なぜ特定の状況で同じパターンに陥るのかを知りたい。そうすれば、より効果的で持続可能なケアができるのではないかと考えました。

ITエンジニアという職業柄、データに基づいて物事を判断することには慣れています。自分自身を客観的に理解するために、遺伝子情報という固定的なデータと、日々の行動や感情という変動的なデータを組み合わせて分析してみよう。これが、「わたしの個別ケアジャーニー」における、自己理解の旅の始まりでした。当時の私の課題は、自分自身の「取扱説明書」がなく、どうすれば自分が最も安定し、パフォーマンスを発揮できるのかが漠然としていたことです。

遺伝子情報から見えてきた「私というシステム」の設計傾向

まず、以前受けた遺伝子検査の結果を改めて見直しました。そこには、ストレスへの反応傾向、報酬系に関する傾向、新しい情報への適応力、といった様々な項目が示されています。正直、検査を受けた当初は「なるほど」と思う程度で、具体的な行動にどう結びつけるかは不明確でした。

今回、自己理解という目的意識を持って読み返したところ、いくつかの傾向が目に留まりました。例えば、特定の遺伝子タイプが示す「変化に対するストレスを感じやすい傾向」や、「報酬を得るまでに時間がかかる目標に対して、モチベーションを維持しにくい傾向」といった情報です。これらはあくまで可能性や傾向に過ぎませんが、「もしそうだと仮定したら、私の日常のあの振る舞いは説明がつくかもしれない」という仮説を立てることができました。

日々の行動データを収集し、パターンを可視化する

遺伝子情報から得た仮説を検証し、さらに具体的な自己のパターンを把握するために、日々のデータ収集を開始しました。記録したのは主に以下の項目です。

これらのデータを、簡単なスプレッドシート(または専用の記録アプリ)に入力していきました。一週間、一ヶ月とデータが溜まっていくにつれて、単なる日記とは違う、数値や項目で捉えた自分のパターンが見え始めました。例えば、「特定の締め切りの数日前から睡眠時間が減り、気分が落ち込む」「新しいプロジェクトが始まった週は、カフェイン摂取量が増えるが無駄なタスクに時間を費やしやすい」といった具体的な相関が見られるようになりました。

遺伝子仮説と行動データの照合:点と点が線になる瞬間

データが一定量溜まったところで、遺伝子情報から立てた仮説と、データから見えたパターンを照合する分析を行いました。

例えば、「変化に対するストレスを感じやすい遺伝子傾向」という仮説がありました。日々のデータを分析すると、確かに「新しいタスクが急に降ってきた日」や「慣れない場所に行った日」の気分が顕著に低下し、疲労感が増していることが分かりました。このデータは、遺伝子情報が示唆する私の特性を裏付ける有力な証拠となりました。

また、「報酬を得るまでに時間がかかる目標へのモチベーション維持の難しさ」という仮説も、日々のタスク完了率や集中度データから裏付けられました。短期で成果が見えやすいタスクにはすぐ取り組めるのに、長期的なプロジェクトはついつい後回しにしてしまう傾向がデータとして現れていたのです。

この遺伝子情報と行動データの照合プロセスは、まさに点と点が線になるような感覚でした。漠然と感じていた自分の「癖」や「傾向」が、データという客観的な根拠と、遺伝子という生来の特性から示唆される理由によって、はっきりと形を持って理解できたのです。

自己理解を具体的なメンタルケア・行動変容に活かす

自分自身の「取扱説明書」の輪郭が見えてきたところで、この理解を実際のメンタルケアにどう活かすかを考えました。

これらの対策は、以前のように「頑張って無理に合わせる」のではなく、「自分の特性を理解した上で、自分に合った方法を選ぶ」という感覚に変わりました。

実践を通して得られた変化と気づき

この自己理解に基づく実践を続けるうちに、いくつかの良い変化が現れました。

まず、自分の感情や行動パターンを客観的に捉えられるようになったことです。「あ、今、変化にストレスを感じているな」「これは、報酬が見えにくいから気が乗らないのだな」のように、自分の内面をデータと遺伝子の傾向に照らして分析する癖がつきました。これにより、感情に振り回されにくくなり、一歩引いて状況を判断できるようになりました。

また、自分の弱みだと思っていた部分が、単なる怠惰や能力不足ではなく、自分の特性に起因するものだと理解できたことで、自己否定感が大きく減りました。無理に変わろうとするのではなく、自分の特性を前提として、どうすれば目標を達成できるか、どうすれば心地よく過ごせるかを考えられるようになったのです。これは、メンタル面で大きな安心感につながりました。

データに基づいているため、うまくいかなかった場合も感情的に落ち込むのではなく、「なぜうまくいかなかったのだろう?データに何か変化はあったか?遺伝子的な傾向と何か関連があるか?」のように、分析的な視点で改善策を検討できるようになりました。

工夫点と今後の展望

このプロセスで工夫したのは、データ収集の項目を欲張りすぎず、自分が継続できる範囲に絞ったことです。最初は多くの項目を記録しようとしましたが、負担になり挫折しそうになりました。最も関連性の高い項目に絞り、習慣化することを優先しました。また、遺伝子情報はあくまで「傾向」であり、全てを決定するものではないという理解を常に持つようにしました。データと照合し、自分自身の具体的な体験として確認することを重視しました。

今後の展望としては、さらに他の種類のデータ(例:特定の環境音、香り、体調の微細な変化など)も組み合わせて分析することで、自己理解をより深めていきたいと考えています。また、このプロセスで得られた知見を、仕事の進め方や人間関係の築き方など、メンタルケア以外の領域にも応用できるのではないかと考えています。

読者へのメッセージ

私の体験談は、あくまで一例に過ぎません。しかし、もしあなたが「自分自身のことをもっと深く理解したい」「メンタルケアをより効果的に実践したいけれど、具体的な方法が分からない」と感じているのであれば、遺伝子情報と日々のデータを組み合わせて分析してみるというアプローチは、きっと新たなヒントを与えてくれるはずです。

最初は戸惑うこともあるかもしれません。しかし、自分自身という複雑なシステムを、データという客観的な視点と、遺伝子という設計図のヒントを頼りに探求していくプロセスは、非常に興味深く、そして自身のメンタルケアを大きく前進させる力があると私は感じています。あなたの「個別ケアジャーニー」の参考になれば幸いです。